思考体系

ホリエモンのインタビューから。

あなたはネット企業の社長でしたが,「いかに資金を集めるか」「いかに知名度を上げるか」という施策ばかりが目立っていたと思います。その影響なのか,ライブドアは技術力がない企業だとも言われていました。
 僕には「技術力がある」という意味がよく分からない。技術よりかは,アイデアと実装でしょう。では,あなたはGoogleが技術力のある会社だと言えますか。
技術力のある会社だと思います。
 であれば,ライブドアも技術力のある会社でしたよ。技術力というものを評価する時に,僕はGoogleと当時のライブドアは大して変わらなかったと思います。では,Googleが世界一になれたポイントは何だと思いますか。

普通におもしろい。おもしろいのだが、ほかにも大物系のインタビューを読んでいて感じるのは、大きな動物の部分をさわっている感じ、というか、大きな思考体系の部分部分をインタビューで明らかにしている感じなのだ。では通常はどうなのかというと、割と一問一答っぽくて、相手の思考体系みたいなものは読み取れない。逆に言うと、大物系の人たちは、個性的な思考体系を持っている。それはインタビューでその片鱗が伺え、大きなオリジナルの思考体系がバックにあるのだろうなと感じさせるくらいの何かである。
投資家バフェットとソロスの本を思い出した。彼ら二人に共通していると感じたのは、市場を読んだりしないということである。市場は市場として切り離してしまい、バフェットはあるべき価値というのを自分の中で精緻に定めて、ひたすらそれに従い愚直に投資するし、ソロスは、自分の仮説を練り込んだ上で仮説の検証のためとして市場にアプローチする。市場と市場観はまったく別個で、現実の世界とは別に思考体系みたいなものが別にある。それをひたすら磨き上げることに注力している。少なくとも彼らは、現実の市場の姿を精緻にスケッチしようとはしていない。こうであるはずだという独自の抽象画を描き続けている。
ホリエモンにも似たものを観じた。それは、一貫している、とか、個性がある、と評されるものかもしれないが、そういうことよりも、世界と独立した思考体系がある、そしてその思考体系の中では、いろいろなことは矛盾なくつながっているということが重要なのだと思う。世界と世界観が完全に別個。世界の局面局面に対する感想やら反応やらで成り立つ思考体系ではなくて、世界とは独立に成り立つ思考体系。そして検証なり実行なりのために世界にアプローチする。何か違いがあると思う。