不必要善というものを考えてみる

必要悪があるんだったら、不必要善もあるんじゃないか。ということで考えてみる。
まず必要悪だけれど、これは、最悪を防ぐための悪だということになる。その役割は、善を引き立たせたり、悪に対するワクチンであったりする。必要悪をおくことによって善を成り立たせ、善悪の世界そのものが致命的に破壊されることを防ぐという、そういうものだろう。つまりここでの「必要」は、いま成り立っている世界自体を壊さないという意味だ。世界自体が継続するかどうかということを問題にしている。もっというと、善悪ということと、世界の継続性というのは別問題ということかもしれない。
それで不必要善はなにかということだけれど、これは必要悪の対極となる内容だ。さっきの「必要」の定義から考えると、「不必要」というのは成り立っている世界そのものを破壊してしまうということである。世界そのものを破壊してしまう善とはなにか。それは絶対善、すなわち無条件の善かもしれない。ここでいう無条件の善というのはなんだろう。これは善である、だからすべてのものはこれに劣後するのである、という思考停止・盲信状態ではなかろうか。すべてに優先される「無条件の善」を設定してしまうことで、それ以外のものを破壊してしまい、善悪が成り立つ世界そのものが継続しなくなってしまう・・・そういうことなのかもしれない。