バンク・オブ・アメリカ「キープ・ザ・チェンジ」

バンク・オブ・アメリカは2005年後半、「キープ・ザ・チェンジ(おつりを貯めよう)」という普通預金をそのサービス・メニューに加えた。同行の商品開発チームは、IDEOの協力の下、ある消費者行動を特定した。言われてみれば、多くの人が身に覚えのある行動である。具体的には次のようなものだ。
家に帰ると、買い物の釣り銭を口の広いビンに入れる。そのビンがいっぱいになれば、なかの小銭を銀行に持って行って口座に預ける。これは、多くの人にとって簡単な貯金術である。
バンク・オブ・アメリカイノベーションは、この消費者行動をデビットカード口座に反映させた点にあった。この新サービスを利用すれば、同行のデビットカードで買い物すると、支払金額のセント単位端数はドル単位に切り上げされ、その差額−ドル札で支払った場合にもらう硬貨のおつりに相当する−は自動的に普通口座に預金される。
手間もかからず、知らず知らずのうちにお金が貯まっていくという、我々の本能的欲求に訴えたことが、このイノベーションが成功した理由である。
(DHBR 2008.12)

現在の総加入数は500万を超えている模様。