できるとわかる

丸暗記、そして詰め込み教育。いまさら何をというくらいのネガティブワードである。その背景には心ある教育者の、「きちんとわかることを通して覚えて欲しい」という想いがある。これはすばらしいことである。しかし、「わかるから覚えるのだ」や「わかることを通じて覚えるべきだ」というのは本当に事実なのか。われわれの行為には、覚えてから後ろを振り返るように理解することが多くはないか。母は「私は数学が苦手だったけれど、すべてのことに対してその意義やら意味性やらを理解しようとしていたからだと思う、さきにとにかくできるようになってから理解すれば良かったのに」と言った。そこにはいくばくかの真実が含まれていると思う。