殺しの技法

いわゆる「〜殺し」という表現には4つのバリエーションがある。

  • ○○を殺す、という意味

親殺し、子殺し、など

  • ○○を魅惑する、という意味

フレームとしては上と同じ。男殺し、女殺し、など

  • ○○をそのままにする、という意味

嵌め殺し、飼い殺し、埋め殺し、見殺し、など。嵌め殺しや埋め殺しは技術用語かな。

  • 相手がいやがる方向とは違う、むしろ逆の方向に作用を加えて殺すこと

褒め殺し、生殺し、など。生殺しは見方によっては「そのままにする」とも言える。

注目すべきは3と4。通常、殺しを考えるときには相手を物理的にとっちめたり、批判することが多い。つまり、相手に反作用を外部から加える。しかし、逆に加速させたり放っておいたりすることがすることが相手を殺すこともある。もしかしたら「地獄への道は善意で〜」とか「不作為の罪」みたいなところに論点はつながるかもしれない。戦略論として、あえて何もしない、あえて今の状況を加速させる、という手法もあるということだ。その辺の選択肢の見極めが肝心かと。


と言って締めればよいのだが、誰の陰謀でもなく、社会構造がそうなってしまうということもあるかもしれない。たとえば「成功におぼれて失敗する」などは褒め殺し的な要素を持つのかもしれないし、地方への補助金などは生殺しの構造にはまっていってしまっているのかもしれない。あうんの呼吸で仕事をこなしてしまう現場や下請けは、その元請けを生殺し・褒め殺しにしているのかもしれない・・・