世代を見る眼

自分が若いときに上の世代に受けた仕打ちで、当時「これはひどいなあ」と思ったことがあったとして、自分が当時の「上の世代」になったらどうするか。大体は、「当時はそうも思ったけど、実際その立場になるとわかることもあるし、難しいなあ」というのが良心的な考えかと思う。そのあと、じゃあ実際に下の世代に何をするかというとここで人は二つに分かれて、「だからこの制度は変えない、何ともいえないし」「でも当時嫌だったのだから変えるしかない」になる。これは、どっちがいいのか私には判断できない。個別ケースにもよるだろう。うむ。
私が思うのは、我々が下の世代を見るときに想定している相手というのは、実のところ目の前にいるその下の世代ではなく、当時その世代であった自分ではないかということだ*1。なぜか、われわれはそういう風にしか想像をめぐらせることができない。思うに、下の世代に対して思っている事は、そのまま過去の自分に対して考えていることではないか。そして、ほとんどの人は、今の自分は昔の自分より優れていると思う(思いたい)から、絶対に過去の自分の投影であるところの下の世代のことなんか思いやれないだろうと思う。まれに見る、下の世代に対して立派な態度を持っている上の世代の人(←下の世代から見て、ね)というのは、過去の自分に対して否定するところのない、つまるところ自信のある人なんだと思う。そして、ここで言う「自信」というのは文字通り自分を信じることであり、経済力や地位はあまり関係ない。

*1:上の世代に対してはそういう風には見ないだろう。なぜならまだ経験していないわけだから。